【ネタバレあり】無隣館若手自主企画vol.28 福名企画『そして今日も、朝日』の稽古場より②

ご覧いただきありがとうございます。
「こんな時間あけたくなかった……」と思いながら書いております木村恵美子です。

今回も、本日最終日!!!無隣館若手自主企画vo.28 福名企画『そして今日も、朝日』の稽古場よりお届けします。

今回はネタバレ込みでお届けしたいと思います!
うっかりじわっとネタバレしてしまった前回の記事はこちらからご覧いただけます。

こんにちは、木村恵美子です。 無隣館若手自主企画2月2本目! というこのタイミングで執筆に使っているパソコンが動かなくなってしまいまし...

今回、登場人物は4名。
小中学校の同級生3人と、その恋人一人。
3人は地元広島から東京に出てきて、恋人は東京出身で。

3人には1年半前ストーカーによって殺害された同郷の友人がいる。
友人も東京にいたが、3人は事件を報道で知るのみだった。
という前提の中で行われる、金曜日の夜の飲み会。
でも実はその日は亡くなった彼女の誕生日でもあって、というお話。
撮影:髙野友靖
上記は、ネタバレなんだけれども、ネタバレじゃない。
描かれているのは「出来事」よりも「想い」だから。と木村は勝手に思っております。
終始モヤモヤするように書かれていて、うおおお、ってなります。

今回、あれですね。食べ物が軸で話が進んでいくつくりになっていて。お酒、駄菓子、カップラーメン、ケーキ。それぞれの扱い方にそれぞれの関係性が現れたり、関連するエピソードで話が進んだりするんですけど、本番を客席で拝見していたら、新しい食べ物が出るたびに客席のどこかでお腹が鳴っていて(笑) 食べ物が出てくるお芝居ではあるあるの現象なんですけど、今回は顕著でした。

地味ながらめちゃくちゃ気になっているのが、堀夏子さんが食べている辛ラーメンなんですけど。

撮影:髙野友靖
これめちゃくちゃ辛いラーメンなのに、毎度食べているんです。すごい。ラーメンもあとである情報を引き出すのに絡んでいるんですけど、この辛いラーメンをセレクトする理由が演出上あるならめちゃくちゃ面白いなと思っております。

あとお酒のセレクトも。私は恥ずかしながらお酒に詳しくないので詳しく分析までは出来ないんですけど、人によって銘柄を選んでますよね。こういう小ネタは楽しいですよね。

撮影:髙野友靖
駄菓子を通して子供時代の話をする。っていうか普通のおつまみじゃなくて駄菓子が机に乗っている。開けたり食べたりひっくり返したり。この駄菓子の扱い方についても日々試行錯誤が重ねられているようで、観るたびに驚きがありました。これはふせんさんが率先して食べていたイメージ。


撮影:髙野友靖
そしてケーキ。これが話を動かす一番のきっかけになる。
前述の通り、この日は脚本家のお祝いの場でもあるのだけれど、亡くなったクラスメイトの誕生日でもある。だけど学生時代なぜか彼女は嘘の誕生日を周りに言っていて、知っているのは堀夏子さんの演じるかおりだけだった。誕生日といえばケーキ。ということでクラスメイトの話に発展していく。

撮影:髙野友靖
この話、友人という立場とともにストーカーされる側の視点に触れているほか、「ストーカーする」側の視点も描かれています。この役割は矢野さんが担っているものの、このケーキ周辺のエピソードで初めて感づかれるんですよね。まあその、逆に、「なんで気づいた彼以外は気づかないの」というレベルであからさまなのですが……。でも昔からの仲っていうのは、案外こんなことがあっても目隠ししてしまうものなのかもしれません。

ところでケーキ。毎日食べて飽きませんか?とふせんさんに聞いてみたんですけど、意外といけるそうです。日によっては同じケーキを2個食べるわけじゃないですか。凄いなと思いました。


撮影:髙野友靖

この公演、4人芝居ながらいろんな立場の人が出てきますけれども、皆さん誰に感情移入して、というか、どんな風に見ているのでしょう。ネットで感想など拝見していても、「怖い」というものも多く、受け取ったものの質感についてももっと知っていきたいなあと思うばかりです。今度無隣館メンバーに会えたら、どう思ったか、聞いてみたいと思います。

ところで、今回の写真は福名企画で演出助手を努めていた、無隣館演出部の髙野友靖くんの撮影です。日本文学盛衰史の時も彼とカメラの話をしたのですが、ついに無隣館の窓に使わせていただきました。私よりもっとカメラ愛の強い人だと思うので、もっと見てみたいです。こちらは木村撮影です。

今回苦戦してしまいなかなか書きあがらなかったため、残念ながらあと一回!ですが、いろんな方に観ていただきたいと思います。

あ、私がこの作品で一番好きなのは、静かな静かな開場時間が過ぎて、スッと始まる、あの瞬間だと思います。あの「完全に支配された」「これ面白いヤツ」感、素敵です。こちら、静かな静かな開場時間の、からっぽの舞台と福名さんの後ろ姿。こちらも木村撮影。

 お時間ある方、今からでも是非。

当日券情報は以下のTwitterからもご覧いただけます。

**公演情報**


無隣館若手自主企画 vol.28 福名企画
そして今日も、朝日
作・演出:福名理穂
2019年2月16日[土] – 2月24日[日]

[ぱぷりか]としても活動している、無隣館演出部の福名理穂が描く。今作は、学生時代に仲の良かった友人の死を知り、生きる事に違和感を感じながら過ごす日々と、少しの後悔と、昔と今と、そして人との繋がりをじんわりと感じさせる物語。

「中学時代の友人がなくなりました。
ニュースにもなって、ネットにも乗りました。
当たり前のように、私の取り巻く日常は何も変わりませんでした。」

無隣館演出部の福名理穂が主催の企画公演、福名企画。
広島県出身。2014年ぱぷりかを旗揚げ。
劇団公演では全公演の作・演出を務める。
主に会話劇を中心とし、人との繋がりで生まれる虚無感を描く。
「孤独な気持ちを抱えていても本当は一人ではなかったり、歳を重ねても大人になりきれない人々」を描き、観た後に人の温もりを感じるような作品を作りたいと奮闘している。
【出演】
堀 夏子(青年団)
秋本ふせん
佐藤 岳(無隣館)
矢野昌幸(無隣館)

【スタッフ】
美術:鬼木美佳(無隣館)
音響:櫻内憧海(無隣館 / お布団)
音響操作:小山都市雄(無隣館)
照明協力:井坂浩(青年団)
舞台監督:黒澤多生(無隣館)
制作:蜂巣もも(グループ・野原/青年団演出部) / 井上 哲
制作補佐:吉益美帆(無隣館)
演出助手:髙野友靖(無隣館)
総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

【日時】
2019年2月16日[土] – 2月24日[日]
2月
16日(土) 19:30☆(プレ公演)
17日(日) 14:00
18日(月) 19:30
19日(火) 休演日
20日(水) 14:30/19:30
21日(木) 19:30
22日(金) 19:30
23日(土) 14:00/19:00
24日(日) 15:00
受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前

【料金】
予約一般 2,200円
当日一般 2,500円
☆プレ公演 予約当日ともに 1,000円
*日時指定・全席自由・整理番号付
*未就学児童はご入場頂けません。

【チケット取り扱い】
青年団 03-3469-9107 (12:00 – 20:00)
オンラインチケット予約はこちらから

【会場】
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

【お問い合わせ】
青年団 03-3469-9107 (12:00-20:00)
ぱぷりか http://puprika.wixsite.com/papu
ぱぷりかTwitter https://twitter.com/pap926

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