無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画『イチゾウ』の稽古場より①

こんにちは。木村恵美子です。

今回はついに最後の無隣館若手自主企画!
無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画『イチゾウ』の稽古場よりお届けします。

実は1回目の取材には1月に伺っていたんですが、まずその時のエピソードと、最近稽古場に伺った時の事を書いていきたいと思います。
野宮企画、今回は「詩の立体化」ということで、どうするんだ!? と思っておりました。実際、近年のポストドラマの手法に近いことをやるんじゃないかしら? でも以前拝見した野宮さんの作品は割と物語性のあるものだったので、どうなるのかな……? と色々考えを巡らせておりました。

今回の企画の主宰・詩作・構成の野宮有姫(のみやゆうき)さんですが、かねてより「詩人」と名乗っておられまして、学生時代も詩を専攻されていたとか。ご自身の団体でも公演に伴う詩の発表や演劇にとらわれない活動をされていまして、
「言葉に対する感性を丁寧に積み上げてこられた方」
という印象を強く持っています。

野宮さん

個人的にも無隣館に参加して以降とてもお世話になっている方なのですが、
芸術をとても身近なものとして扱って暮らしている方だと思っております。
佇まいが穏やかで優しく、話しているととても安心出来る方です。

そして今回、作品全体の”振付”として無隣館演出部の山下恵実(やましためぐみ)さんが参加されているんですが、彼女はダンス等身体性への感性が鋭く、「演出家」としての文脈を持っています。

二人が関わっている様子には過去あまり触れてはこれなかったものの、いろいろご縁あって私個人としては野宮さん山下さんそれぞれと関わらせていただくことも多かったので、きっと良いタッグだなあ、と思っていました。

序盤の稽古と終盤の稽古を拝見しましたが、この作品は多くのワークショップを経て、身体性の文脈と文学性の文脈を俳優陣と擦り合わせていったようです。前半私がうかがった稽古では身体性の強いワークを重ねた上で、詩作や連句などのワークをしていました。それぞれの共通して「俳優から発せられるものを汲み上げ、増幅させる」という姿勢を一貫させており、野宮さんの他者を愛する姿勢とこの作品に求めるものが表れていたように思いました。コンタクトインプロ的な言語外の身体ワークから、言葉へのイメージを身体表現に繋げるワーク、「あいうえお」のイメージを別の言葉で表現する、等々……。その日も幅広いワークをされていたんですが、そこで立ち上がったものが後半の稽古で作品に扱われていて、野宮さんが長い長い時間をかけて作品の共通言語とイメージ、枠組みや身体性を作り上げてきたんだとわかり、だいぶ感激しました。

前半の稽古に伺った際に特徴的だったことの一つとして、野宮さんが講師を努めている演劇部の高校生と共に稽古を行っていたことがありました。それにより今回の創作そのものが演劇のアウトリーチを兼ねていると同時に、高校生から座組に無い発想を取り入れるという側面も実現出来ていて、自分としては「めちゃくちゃ魅力的な創作現場だな……」と思いました。もっともっと稽古に伺いたかったです。

また、今回は無隣館の中でも独自の色を持つ俳優さんが意識的にキャスティングされていると感じます。それぞれ別の印象の俳優さん5名がそろっているのが面白い。

また次の記事で一人ひとりについて書けたらと思うのですが、
少しずつあいうえお順に挙げていけば、
まず、小野亮子さん。

恥ずかしながら拝見したのは『革命日記』以来でしたが、ある種の色気を持っている方で、そこにいるだけで見てしまうな……。と稽古場で改めて思いました。革命日記では近所の奥様な役でしたが、私は小野さんの抑えた芝居が観たいです……。私が稽古に伺ったときは一部しか見られなかったので、さらにどんなことを任されているのか、拝見するのが楽しみです。

次に黒澤多生(くろさわたお)さん。
自主企画への”出演”は升味企画以来ですかね……?


私が見たことある多生さんのお芝居は会話劇なことが多かったですが、身体性も器用なのを知っているので、今回どんな風に多生さんの身体性が活かされてくるのか、楽しみです。あと多生さんの発想は独特な豊かさを持っている印象があるので、それも作品にどう活きてきたのか、めちゃくちゃ気になっております。

それから、外 桂士朗(そでけいしろう)さん。


もはや、何回目の登場なんでしょう外さん! 革命日記、木村和博企画、中村企画からの野宮企画出演です。

身体めっちゃきくけど独特の個性が乗る、タイプです。稽古に伺った段階でも外さんの個性を活かすポジションを任されている印象でしたが、拝見したのはほんの少しでしたので、今回のようなテイストの作品に今後どう活かされるのか楽しみです。

あとは、名古屋 愛(なごやめぐみ)さん。


升味企画にも出演されていました。彼女もまた独特で……。先日終盤の稽古に伺った時に拝見したのは彼女がしゃべるシーンが多かったのですが、彼女の透き通った、でも何か持っていそうな存在感にぴったり合った役割が与えられていた、と思いました。

升味企画の時から半年経って、当時よりも舞台上、また稽古場で自由になっていた印象です。今作でもどうなっていくのか楽しみです。

最後に、南風盛 もえ(はえもり もえ)さん。


無隣館の窓への登場は小野さんと同じく『革命日記』以来でしょうか。彼女もまた存在感が独特なので楽しいです。自分的な彼女の印象は「表現が硬質」。でもそれは表現が固い、とかそういう意味ではなく、質感。笑顔も素敵だけど真顔にも魅力がある方。あ、それはほかの方もそうなんですが、南風盛さんは身体性も言語性も硬質さを兼ね備えていて、私としてはとても、ポストドラマ的な表現が似合う方だと思います。日常の延長じゃない表現にも説得力を持たせられる存在感、というか。今作でどうなっていくのか、楽しみです。

次回の記事ではもっと言語性とか、劇場に入って、美術の鬼木さんと音楽の櫻内さんと、どういう進化を実現していったのか、というあたりにも触れていけたらと思っております。
野宮企画、まもなく開幕です。楽しみにして頂けたら幸いです。

 

**公演情報**

 

無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画
イチゾウ
詩作・構成:野宮有姫
2019年3月20日[水] – 3月24日[日]

 

宮沢賢治作品―特に童話『よだかの星』と詩集『春と修羅』を種として試みる詩作実験、或いは、演劇。
無名の詩人が現代の都市を描いた新作詩集を、
俳優の身体とインスタレーション的舞台美術を以て立体化する。

今日ここから、ひとつずつ五感を壊してゆく。
語るに足らぬいきものへ。
正しい進化だろう。

反吐の海で窒息しても狂わぬよう、
なんて、それすら見栄だ。

正当化するに足る痛みなんて知らない。
ほんとうはただただすべてが面倒なだけ。
生理痛みたいな怒りだ、
なんて、彼がいうから少し笑った。

独り善がりなきみの紫。
飼い殺されたぼくらの橙。

ぜんぶ映した、酉の空。
(無名の詩人の詩集より 抜粋)

 

これらのデッサンは或るひとりのひとへ捧げることにする。そのひと自身の肖像として。痕跡として。シャッターの音。或るひとりの人間を想うことは、社会と時代と遭遇することであり、僕ら自身の生命や思想に気がつくことであるとする。自明の仮定だ。シャッターの音。この宇宙の何処かに存在する語るに足らぬそのひとへ。相変わらずハンバーガーは嫌いで、無心にかぶりつくきみはとても■■■■■。

詩作・構成:野宮有姫

 

野宮有姫
詩人を称する演劇人。無隣館三期演出部所属。
2009年、都立駒場高校演劇部の同期と企画団体シックスペースを旗揚げ。
以降、同団体中心に、詩作・演出活動を続ける他、映像シナリオ提供・作詞提供・WSコーディネート、最近は高校演劇部での講師などを行う。
詩を母体として演劇やアートセッションなどへたち上げる方法を確立中。
酒と猫とひととことばをこよなく愛している。

 

【出演】
小野 亮子
黒澤 多生
外 桂士朗
名古屋 愛
南風盛 もえ

以上、無隣館

 

【スタッフ】
総合演出・詩作・構成:野宮 有姫(無隣館/シックスペース)
美術監督:鬼木 美佳(無隣館)
振付:山下 恵実 (無隣館/ひとごと。)
舞台監督:黒澤 多生(無隣館)
⾳響・他:櫻内 憧海(無隣館/お布団)
ドラマトゥルギー:朴 建雄 (無隣館)
制作:笠島 清剛(青年団)、百瀬 みずき(シックスペース)
制作補助:井上 哲、中村 奏太(無隣館/アルココチ)
宣伝美術・撮影:大西 沙絵子(シックスペース)
協力:陳 彦君(青年団)、森 一生(無隣館/阿佐ヶ谷スパイダーズ)、木村 恵美子(無隣館/kazakami)
総合プロデューサー:平⽥ オリザ
技術協⼒:⼤池容⼦(アゴラ企画)
制作協⼒:⽊元太郎(アゴラ企画)

 

【日時】
2019年3月20日[水] – 3月24日[日]
3月
20日(水) 19:30★
21日(木) 14:00 / 19:00◆
22日(金) 14:00 / 19:00◆
23日(土) 14:00◆/ 19:00
24日(日) 13:00 / 18:00
受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
※上演時間は60分前後を予定。
★=初回割引(500円引き)にてご案内
◆=アフタートーク有り
21日(木)19:00~ 永方 佑樹(詩人)
22日(金)19:00~ Piko Okabe(アートディレクター・アーティスト)
23日(土)14:00~ 森山 亜希(油彩画家)

【料金】
予約|2000円 ※初日は割引価格1500円
当日|2500円
*日時指定・全席⾃由・整理番号順での⼊場
*未就学児童はご入場頂けません。
★初日割引/リピーター割引
予約・当日共に、定価から500円引きにてご案内します!

【チケット取り扱い】
青年団 03-3469-9107 (12:00 – 20:00)
オンラインチケット予約はこちらから

【会場】
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

【お問い合わせ】
Webサイト|https://nomiya-kikaku.amebaownd.com
Twitter|@nomiya_kikaku
Instagram|@ichizo_0