【ネタバレあり】無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画『イチゾウ』の稽古場より③

こんにちは。木村恵美子です。
今回は本日千秋楽を迎える、無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画『イチゾウ』より、ネタバレありでお届けします。

まず、私が記事で隠してきた舞台美術のこだわりからお伝えしたいと思います。
SNSで公開されている写真や感想では出ておりますが、これです。
水で描けるスクリーン


書道練習で使われるような、”水に濡れると黒くなる”素材が使われています。今回鬼木さんの発想超凄い!と思った一品。
水に反応するので、書いても書いても上演中に時間の経過で消えていきます。
また、手で描く、意外のアプローチも可能で、終盤には舞台美術に組み込まれたある仕掛けも発動します。
というか、これのみならず終盤、怒涛の仕掛け発動です。これは明記せずにおこうと思いますけれども、鬼木さん、どれも、すごい。正直私個人としては予想外のところを突かれたし、隠しきったのもすごい。し、小屋入りするまで本当に可能かわからない部分もいくつかあったと思うのですが、一個一個困難を解決していったんだろうなあと思うと、なんかもう、感動です。

それから、「あそびのじかん」というパートがあります。
一見曽根企画と近い試みか?とも思えるのですが、よく見ると文脈が違います。舞台上で「遊び」を扱うということにもいろんな方法があるのだなと思わされました。


これはちょっと言語化が難しいのですが、特に前半においては「言葉遊びの時間」という傾向が強いのでは、と思います。


最後は何なんでしょうね……。とにかく「外さんが凄い」みたいなことはわかりますよね。外さん、めちゃくちゃ動ける俳優さんなので、ぜひ、見逃さないでいただければと思います。他見てると見せ場、見失うので……。

 

「あそびのじかん」のほかにも、今回作品全体を通して山下恵実さんが俳優陣に振付をつけているのですが、みんなの身体性に合わせた振付がつけられていて、特に男性陣2人、黒澤多生(くろさわたお)さんと外桂士朗(そでけいしろう)さんには特に2人とも参加するシーンではリフトが取り入れられたりしていて、比較的パワフルな振付がついているように見えます。


外さんはその独自の身体性をいかした絶妙な振りが入れられているし、多生さんもシンプルながらバランスと力で押すような振りがつけられていて、見ていて楽しいです。

女性陣はやわらかめの振りがつけられていることが多いですが、南風盛もえ(はえもりもえ)さんのソロパートはかなりかっこいい感じで好きです。硬質な身体がとても活かされていると思います。

それから小野亮子さんのソロパートは「授業」というシーンになっていることが多く、ここが知的かつ詩的な事を言っていて聞いてて楽しいです。ほかの発話と同時多発していることが多いので聞き取りが難しいこともありますが、是非是非、聞いてみていただけたらと思います。

また、先日名古屋愛(なごやめぐみ)さんが主旋律と書きましたが、名古屋さんは兄『イチゾウ』を追う妹として描かれています。特に名古屋さんに渡されているセリフは野宮さんの世界観へのこだわり、俳優さんの魅力へのこだわりが強くシンクロしていて、作品全体を引っ張っていてとても魅力的です。

 

あとは、開場時から一貫して存在している水のしかけ。
多くの方が入場後一番初めに気づくと思うのですが、これ、生音です。(しかけ自体は演劇でよくあるんですけど、毎度これをやる舞台監督さんや美術さん、凄いなあ、と思います。)

これ、野宮企画のみなさんは『〇〇〇〇』と呼んでいました。メタファー、なのか。何と呼んでいたか気になる方はぜひ関係者に聞いてみていただければと思います。

全体の中でも特に特徴的な部分を書くとすれば、こんな感じでしょうか。照明音響は私は言語化する術をあまりもたないことに気づいてしまったので、とにかく、体感していただきたいところです。かなり楽しいです。
無隣館自主企画のラスト、無隣館生の総力戦。今書いた以外にも魅力がたくさんありますので、あと2回、迷われている方、劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです。
観てみたいと思っていただけましたら、詳細や当日券情報などは野宮企画のTwitterからご覧いただけますと幸いです。。劇場にて、お待ちしております。

**公演情報**

 

無隣館若手自主企画 vol.29 野宮企画
イチゾウ
詩作・構成:野宮有姫
2019年3月20日[水] – 3月24日[日]

 

宮沢賢治作品―特に童話『よだかの星』と詩集『春と修羅』を種として試みる詩作実験、或いは、演劇。
無名の詩人が現代の都市を描いた新作詩集を、
俳優の身体とインスタレーション的舞台美術を以て立体化する。

今日ここから、ひとつずつ五感を壊してゆく。
語るに足らぬいきものへ。
正しい進化だろう。

反吐の海で窒息しても狂わぬよう、
なんて、それすら見栄だ。

正当化するに足る痛みなんて知らない。
ほんとうはただただすべてが面倒なだけ。
生理痛みたいな怒りだ、
なんて、彼がいうから少し笑った。

独り善がりなきみの紫。
飼い殺されたぼくらの橙。

ぜんぶ映した、酉の空。
(無名の詩人の詩集より 抜粋)

 

これらのデッサンは或るひとりのひとへ捧げることにする。そのひと自身の肖像として。痕跡として。シャッターの音。或るひとりの人間を想うことは、社会と時代と遭遇することであり、僕ら自身の生命や思想に気がつくことであるとする。自明の仮定だ。シャッターの音。この宇宙の何処かに存在する語るに足らぬそのひとへ。相変わらずハンバーガーは嫌いで、無心にかぶりつくきみはとても■■■■■。

詩作・構成:野宮有姫

 

野宮有姫
詩人を称する演劇人。無隣館三期演出部所属。
2009年、都立駒場高校演劇部の同期と企画団体シックスペースを旗揚げ。
以降、同団体中心に、詩作・演出活動を続ける他、映像シナリオ提供・作詞提供・WSコーディネート、最近は高校演劇部での講師などを行う。
詩を母体として演劇やアートセッションなどへたち上げる方法を確立中。
酒と猫とひととことばをこよなく愛している。

 

【出演】
小野 亮子
黒澤 多生
外 桂士朗
名古屋 愛
南風盛 もえ

以上、無隣館

 

【スタッフ】
総合演出・詩作・構成:野宮 有姫(無隣館/シックスペース)
美術監督:鬼木 美佳(無隣館)
振付:山下 恵実 (無隣館/ひとごと。)
舞台監督:黒澤 多生(無隣館)
⾳響・他:櫻内 憧海(無隣館/お布団)
ドラマトゥルギー:朴 建雄 (無隣館)
制作:笠島 清剛(青年団)、百瀬 みずき(シックスペース)
制作補助:井上 哲、中村 奏太(無隣館/アルココチ)
宣伝美術・撮影:大西 沙絵子(シックスペース)
協力:陳 彦君(青年団)、森 一生(無隣館/阿佐ヶ谷スパイダーズ)、木村 恵美子(無隣館/kazakami)
総合プロデューサー:平⽥ オリザ
技術協⼒:⼤池容⼦(アゴラ企画)
制作協⼒:⽊元太郎(アゴラ企画)

 

【日時】
2019年3月20日[水] – 3月24日[日]
3月
20日(水) 19:30★
21日(木) 14:00 / 19:00◆
22日(金) 14:00 / 19:00◆
23日(土) 14:00◆/ 19:00
24日(日) 13:00 / 18:00
受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
※上演時間は60分前後を予定。
★=初回割引(500円引き)にてご案内
◆=アフタートーク有り
21日(木)19:00~ 永方 佑樹(詩人)
22日(金)19:00~ Piko Okabe(アートディレクター・アーティスト)
23日(土)14:00~ 森山 亜希(油彩画家)

【料金】
予約|2000円 ※初日は割引価格1500円
当日|2500円
*日時指定・全席⾃由・整理番号順での⼊場
*未就学児童はご入場頂けません。
★初日割引/リピーター割引
予約・当日共に、定価から500円引きにてご案内します!

【チケット取り扱い】
青年団 03-3469-9107 (12:00 – 20:00)
オンラインチケット予約はこちらから

【会場】
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

【お問い合わせ】
Webサイト|https://nomiya-kikaku.amebaownd.com
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