無隣館若手自主企画vol.27 曽根企画『遊行権』の稽古場より①

遅くなりましたが2019年もよろしくお願いいたします! 木村です。

一ヶ月ぶりの更新となりましたが、ここから無隣館若手自主企画も折り返し。曽根企画、福名企画、野宮企画と怒涛の2ヶ月を、できる限り、追っかけて行きたいと思っております。

さて、そんなわけで今回、無隣館若手自主企画vol.27 曽根企画『遊行権』の稽古場よりお届けします。

曽根企画、色々ありまして春風舎に入ってからやっと伺うことが出来ました! 色々な壁はありましたけれども、10月から稽古をしていたということもあってか、俳優陣と曽根さんと、それからスタッフチームみんなで力をあわせて『遊行権』を作り上げておりました。

曽根さんは脱サラ演劇人で、出演経験や制作、演出助手経験はありますが、今回は初演出作ということで、色んなことが未知数。なので、今回は木村なりに曽根さんの人柄について交えつつ、書いていけたらと思います。

曽根さんといえば、さすが脱サラ、と言うべきなのか、そもそも個人の資質なのか(おそらく後者)、超仕事が出来る人、というイメージが強いです。無隣館3期生は夏の合宿で全体を見事にまとめ上げた彼女の手腕に驚きました。曽根さんと同い年のメンバーが特に驚いていたのを覚えております(笑)

曽根さんは言語化が上手く、曽根企画のTwitterからもそれはうかがえるかと思います。そして、夏の合宿で彼女が創作発表で創作した作品も面白かったです。彼女は仕事が出来る人ですが、その中でも、「適材適所にちゃんと頼る」ことに長けた人だと思います。それはその夏の合宿での様子や創作でも感じたし、今回稽古場に伺っても感じました。曽根さんは色々、わからないなりに、自分の知っている言葉を使いながら、稽古場の色んな経験者の力と視点を借りて、作品作りに臨んでいました。

(曽根さん。こちらの写真は夏に開催されたWSより)

曽根さんは、デザインやコピーライティング、芸術、ダンスもやっていたと聞いていて、そして仕事に関しても、今まで自分のやりたいことをいくつも見つけて、一つ一つ向き合って検証して、そして今、演劇にたどり着いた方だと思います。私、木村はかつて、「あなたは演劇畑で育った演劇人だね」的なことを言われたことがあるのですが(そう、でも無い気はしますが……)、その言葉を借りるならば、彼女は、「演劇以外のところで育ってきた演劇人」なのかなと、思います。少なくとも、今の所。会社員を離れて演劇の世界で暮らして、その色んなどうしようもなさに驚いたりもしていると思うんですが、どうか、どうか今の気持ちを忘れずやっていっていただけたらなと、そして演劇に何か素敵な変化を起こしていただけないかと、どっぷり、10代から演劇に漬かってしまった自分は思います。驚きを忘れない人にしか変えられない物がある、と思っている、ので。

さてさて作品についての話をしましょう。
今回出演者は4名、掲載順に無隣館から石渡愛さん、木村トモアキさん、堀紗織さん、それから青年団演出部の朝比奈竜生さんです。今回特に皆様木村個人的にも仲良くしていただいているメンバーが殆ど、俳優陣は特になので、稽古場に行って直ぐに受け入れていただくことができました。

まず、私が演出家として参加していた年末の中村企画にも出演していた石渡愛(いしわたあい)さん。

また……、もうこの人は面白いな全く……。という気持ちです。
石渡ファンよ驚くなかれ。って感じです。それで良いのか石渡。不思議過ぎる。不思議過ぎる女優、石渡。曽根さんはよく彼女にこんな役割を渡したし、彼女もよく受け入れたなまったくもう、って感じです。あと後述しますが予想外なまでに堀ちゃんとの相性が良かったですね。この絶妙な相性の良さが本編でもっと出たら面白いのにな、と個人的には思いつつ。今後に期待、です。

次に木村トモアキさん。繊細でまたそれ故に信頼出来る人。
曽根さんがトモアキさんを木村くん、私木村を木村さんと呼ぶので稽古場に私が行くとカオスです。

(トモアキさん、すみません、この2枚めの写真の中2感がとても好きで……。)

今回の役割、うーんなんだろう…ある意味一番安心して観てられるけど、笑いもとってくるんだなこの人。なんかほんと、トモアキさんは実直でしかし実直故に面白いタイプだと思います。真面目だから面白い……。シチュエーションコメディ的オモシロ。誰か正統派シチュエーションコメディに彼を起用していただけないだろうか。絶対観たい。

次に堀紗織さん。さの字は糸へん。無隣館の窓、4作目(革命日記、升味企画、木村和博企画、曽根企画)!?

何度も主張しておりますが彼女はコメディエンヌです(面白い写真は総じてネタバレのため真面目っぽい写真ですみません)。そして発想がめちゃくちゃ面白い人です。今回の曽根企画、木村彼女の活かし方においてとてつもなく高評価な気持ちです。よくぞやってくれました曽根さん!! 堀ファンの皆様、是非2回以上ご覧頂きたい。それによってやっと、「木村が何を言っているか」察していただけるんじゃないかと期待しております。1回で気づく方ももちろんいらっしゃると思いますが……。できればネタバレ記事でこの辺また書きたいです。超好き。堀ちゃんも石渡さんも発想が色々面白いので、空き時間とかめっちゃ化学反応起きてて楽しいです。

そして朝比奈竜生(あさひなりゅうせい)さん! 私が無隣館に入って特にお世話になった青年団員のひとりです。

朝比奈さん、俳優としてとても面白い居方であるな、と思って拝見しております。あるシーンの成立っぷり、とても好きです。佇まいの抜け感みたいなものは今回の座組みなさん一致している感じなのですが、特にそれが役として活きているのが朝比奈さんのポジションかな、と思います。衣装、見て、ほしいです(写真の服は衣装ではないです)。めちゃくちゃ似合ってるんですが、朝比奈さんに着せちゃだめな気がしてなりません。

(苦悩……。な曽根さん)

今回、『遊行権』では曽根さん自身の震災被災経験の記憶をもとに、作られたそうです。抽象舞台でありながら避難所のモチーフを重ねて舞台を立ち上げていて、写真を撮っていて「こんなに避難所っぽさが出てしまって本当に良いのか?」とちょっと戸惑いました。今回舞台美術は青年団の中村真生さん。革命日記に出演されていました。足し算と引き算の繰り返された絶妙な抽象美術。めちゃくちゃ素敵です。是非劇場でご覧頂けたら嬉しいです。

色々あった曽根企画ですが、ついに、ついに開幕です。お客様が入って色が変わっていく作品だと思います。これは、面白いんじゃないかと思います。木村和博企画とはまた別種の不思議が待ち構えています。私もめちゃくちゃ楽しみです。まだどの回もお席あるようですが、詳細は曽根企画のTwitterアカウントにてご確認ください。劇場にてお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

▼曽根企画Twitter▼

**公演情報**

無隣館若手自主企画 vol.27 曽根企画
遊行権
構成・演出:曽根千智
2019年2月7日[木] – 11日[月·祝]

愚行権と名のついた権利がある。
名前の通り、他人が見て「愚かでつむじ曲がり」と思える行為であっても、他人に危害が及ばない範囲においては許される、という権利である。例えば、喫煙、飲酒、賭博、冒険、また生命を直接脅かすものには、自傷行為、治療拒否、自殺などが含まれる。
「冒険」が愚行に分類されるように、世間一般的には愚行と称される振る舞いであっても、本人たちにとっては生きていく上で必要な至極切実で真剣な行為である場合がある。その場合、それは混沌とした世界を自分に引き寄せて、関係を取り結び理解していくための手段であるのかもしれない。まるで、幼児が様々な遊びを通して自分が置かれている世界のルールを理解していくのと同じように。
子どもに戻れない大人たちの「遊ぶ権利」をめぐる実験を目撃されたい。

曽根千智  SONE Chisato
1991年、兵庫県生まれ。大阪大学在学中に受けた平田オリザの演劇の授業に衝撃を受け、演劇を観始める。大学卒業後、人材系IT企業にて研究開発職につく傍ら、2017年4月より無隣館3期演出部に所属。出演作品に『カレーと村民』(2013年、メイシアター)『よみちにひはくれない』(2018年、世界ゴールド祭)など。現在は退職し、制作、ドラマトゥルクとしても活動している。本公演が演出家として初めての劇場公演となる。

【出演】
石渡愛
木村トモアキ
堀紗織
(以上、無隣館)
朝比奈竜生

【スタッフ】
ドラマトゥルギー:朴建雄(無隣館)
舞台監督:黒澤多生(無隣館)
舞台監督補佐:ワタナベユウタ
音楽:額田大志(ヌトミック/東京塩麹)
音響プラン:櫻内憧海(無隣館/お布団)
照明プラン:井坂浩(青年団)
美術:中村真生(青年団)
衣装監修:正金彩(青年団)
制作:井上哲、神戸みなみ(無隣館)
協力:有上麻衣(青年団)

総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

【日時】
2019年2月7日[木] – 11日[月·祝]
2月
7日(木) 19:30★
8日(金) 19:30
9日(土) 14:00/19:00
10日(日)14:00★/19:00
11日(月)14:00
受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
————–
★:終演後にポストパフォーマンストークあり
2月7日(木)演出 曽根千智とドラマトゥルク朴建雄
2月10日(日)無隣館トーク ー自立した演劇人として実を結ぶために
ゲストに無隣館3期の演出家3名を招きます。三者三様の若手自主企画の経験の振り返り、無隣館から自立した後の演劇人としての展望を語らいます。

【会場】
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

【料金】
当日一般=2,500円
予約一般=2,000円
予約学生=1,500円(要学生証)
*日時指定・全席自由・整理番号付
*未就学児童はご入場頂けません。
*学生料金でご予約いただいた方は、当日受付にて年齢・学籍を確認できる証明書をご提示ください。

【チケット取り扱い】
青年団 03-3469-9107 (12:00 – 20:00)
オンラインチケット予約はこちらから

【お問い合わせ】
青年団 03-3469-9107 (12:00-20:00)
曽根企画 sone.kikaku@gmail.com
曽根企画Twitter https://twitter.com/sonekikaku

企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
助成:文化庁文化芸術振興補助金 (劇場・音楽等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会

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