「アゴラの人々」の鏡味さんに会ってきた話

ここまで続けて『革命日記』について取り上げてきました「無隣館の窓」。今回は、
青年団若手自主企画vol.69 鏡味企画
「アゴラの人々」

の鏡味さんに会ってきた時のことと、「アゴラの人々」と私の話をしたいと思います。

(その日の写真。まだ準備をしていた頃の、桜の時期でした。)

青年団若手自主企画vol.69 鏡味企画
「アゴラの人々」

ってご存知でしょうか? 「アゴラの人々」は、青年団演出部の鏡味史子さんによる、アゴラで過ごす人々の様子を描いたエッセーを連載するweb企画です。(きっとこの記事をご覧になっている方はご存知だと思いますが……!)

無隣館は2年構成になっていて、1年目は色々講義を受けたりだとか、講習を受けたりするのですが、2年目は実際に企画を立ち上げて運営する。というカリキュラムになっています。

例年公演の企画と共に、いくつかのweb企画が生まれます。実は現在青年団若手自主企画である「アゴラの人々」は、鏡味さんが無隣館2期生の2年目に立ち上げ、現在は過去のweb企画の中で唯一青年団若手自主企画となっている企画なのです。つまり、これからweb企画をやろうという私にとって大先輩な存在です。

この「アゴラの人々」が、私木村は好きでして。企画が始まった頃も、都度更新された時も、無隣館の書類を書くときも、書類選考が通った時も、面接の前も、合格してからも、始まってからも、何度も、読んでいました。

エッセー、というやつが私は昔っから好きなのですが、「アゴラの人々」は、特に不思議に優しいのです。ああなんて魅力的な文を書く人なんだろう、って思っていました。(あ。ちなみに鏡味さんは絵も描けます。絵も素敵です。)

実は鏡味さんは無隣館三期生の運営担当もされていたんですが、鏡味さんだと気付いてすぐ、「アゴラの人々」、読んでます!! と声をかけたくらいです。

(アゴラの人々、とよく出会える駒場東大前駅のホーム。この時は誰もいません。)

そんな鏡味さんです。無隣館で何度もお会いはしていましたが、二人っきりで会うのは初めてで正直緊張していました。

その時は、私からは自主企画の相談をして、そして私も何かお役に立てれば、みたいな、そんな感じでお会いしたんですが、まあその時の内容はともかく、鏡味さんがどんな方だったかを少し。

文章から受けていた印象にやはり、とても近い方でした。不思議な透明感があって、受け取り方がしなやかで、でも芯があって。そしてふわりと知性の香る、方でした。あと笑顔が似合う。

アゴラでお会いしたので、「アゴラの人々」にも出てきた台所や、階段や、事務所のあちこちを一緒に歩いたのですが、なんだか不思議な感じがしました。今までこんな風に感じなかったのに、人間の感覚は不思議です。

(鏡味さんの後姿)

さて、そんな「アゴラの人々」大好きな自分なので、「無隣館の窓」を始めるにあたってやはり、自分のスタンスは何だろう?と考えたりしました。

そういえば、「窓」という名前をつけるのにも相当悩んだんです。1つめの窓はやっぱり、鏡味さんが開けてくれた「アゴラの人々」としてそこにあったから。そこで自分が「窓」というのは、なんだか安易な気もしたのです。ぐるぐる考えて、「稽古場日誌」でどう?と周りに相談して、却下されたりしてました。

ちなみに鏡味さん、「アゴラの人々」でこんなことを書いています。

社会人になり、おそらくより少し「世間の人」に近づきます。 だからこそ、書けるものがあるんじゃないかな、と思うのです。 演劇の生まれるところと世間とのあいだに、私なりに窓を開けます。 そこからアゴラをのぞいてみてください。 何かが変わる出会いが、あるかもしれません。

アゴラの人々:【お知らせ】サイトリニューアル&3年目も続きます/2018.4.1 より

それで、結構長い事何周も考えていたんですが、私なりの窓を開ける。という解釈で良いんじゃないか。そういうことでいいんじゃないか……って考えられるようになり。そして、どう頑張ってもしっくりきてしまったこともあり、「無隣館の窓」という名称で行くことに決めました。

実はそもそも「無隣館の窓」の仕組み、というか、「開けた稽古場日誌」としての在り方は、私が以前からやりたいと思っていたことでした。私は演出助手を何度も経験してきたからなのか、単純に性分なのか、「演劇を作る過程」が好きで、また、その「過程」が演出家も、俳優も、人によって違うのが楽しくて、それを分析して言語化する力をつけたいし、発信したら楽しんでくれる人もいるかもしれない。って考えていて。そして、ちょうど写真が好きだと自覚した時期で。無隣館という場所があって。

それで、色んなことがあって、巡り巡って、「無隣館の窓」に行きつきました。1つの記事を公開するのにも沢山の方と連絡を取ったりして、緊張し通しではありますが、楽しくやっております。めいいっぱい、楽しんでいけたらと思っております。

ではでは、鏡味さんと「アゴラの人々」の話に戻ります。

鏡味さんは「アゴラの人々」で、こんなことも書いてました。

私はこれまで、ゆるやかに演劇・劇場と関わって育ちました。 俳優や演出家や制作など「演劇をつくる人」でもなく、演劇評論家など「専門の人」でもない。 演劇が大好き!という「演劇ファン」ですらない。 ただ、居場所のひとつとして、演劇や劇場がありました。 演劇がなくても楽しいけど、でも演劇に出会ってよかったな、と思っています。

アゴラの人々:【お知らせ】サイトリニューアル&3年目も続きます/2018.4.1 より

これが、私はとても素敵だな、と思うのです。

特に、”演劇がなくても楽しいけど”っていうのが、特に素敵だと思っています。私木村はもう結構、1年でも演劇をやってる時間がとても長くて、演劇の方が日常になってますから、もうこのスタンスを見つめ直すのが意外と難しかったりするんですけど、でも、何に関わるとしても、”〇〇がなくても楽しい”っていうのは良い距離感を保つのに大切だし、演劇って”居場所”の側面がとても大きい活動だと思うんですけど、演劇をガッツリやっていこう、というスタンスではなくても、”居場所のひとつ”という感覚をもつ人が、もっと増えてくれたらいいのに、と思います。何かしらお役に立てる、と思っているし、きっともっと広がっていけると思うのです。……と言うからには自分も、誰かの居場所になれるような演劇を目指して、頑張りますね。

さて、長くなりましたが。最後にちゃんと「アゴラの人々」へのご案内をしようと思います。
今回の記事を読んでくださっている方はきっと既にお読みになっていることと思うのですが、まだの方は是非。もちろん出てくるのはみなさん実在の方なので、劇場でお見かけしたり、チラシなど見るのも楽しくなります。

青年団若手自主企画vol.69 鏡味企画
「アゴラの人々」

「アゴラの人々」も3年目。今年鏡味さんは学校を卒業されて、社会人になるとのことです。新しい視点のエッセーも出てくるのかもしれません。楽しみにしております。

鏡味さん、この度はありがとうございました! これからもよろしくお願いいたします!

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